ソレノイド用語の説明
概要
DCソレノイドとは、電磁コイルに電流を流すことにより発生する磁力を応用し、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換することを目的とした機構部品です。
当社のDCソレノイドは高性能、高信頼性、適正価格をもってパソコン周辺機器部品を中心にOA機器、ゲーム機器、その他と広く御愛用頂いております。
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DCソレノイドの分類
DP型:一般的な吸引用DCソレノイドです。
DM型:小型軽量の保持・吸着型の制御用DCソレノイドです。
DL型:パルス通電する事で吸引・離脱が出来かつ吸着保持も無通電で維持出来るDCソレノイドです。
DF型:アマチエアの動きを利用した一般的なフラッパーソレノイドです。
DV型:エアーなどを開閉するDCタイプの電磁弁です。
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DCソレノイドの定格
DCソレノイドは、使用目的、使用条件に応じて連続使用定格と間欠使用定格に分かれます。a)連続使用定格
定格電圧を連続して何時間通電しても、規定の温度上昇限度を超えない定格。b)間欠使用定格
定格電圧を規定条件時間のみ通電した場合に規定の温度上昇限度を超えない定格。
この場合連続定格よりも数倍の吸引力を得ることができます。
反面、消費電力増となり、秒きざみで温度上昇しますので次式の「通電率」を用いて間欠使用条件を設定する必要があります。但し通常1サイクル内の最長通電時間は、使用条件及び形状(大きさ)により異なりますので御注意ください。
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吸引力の変動
a)温度変化による影響
吸引型ソレノイドは、励磁コイルの温度上昇及び周囲温度の上昇によって励磁コイルの抵抗が増加することにより、アンペアターン(AT)が減少し、吸引力が減少します。従って使用時に温度上昇が見込まれる場合、それによる低下分を見込んだ吸引力を有するソレノイドを選定する必要があります。
その場合、吸引力に必要なアンペアターン(AT)は、下表の補正係数を乗じた値が必要だとお考えになると目安になります。温度上昇(deg.) -20 0 20 40 60 80 100 AT補正係数 0.92 1.00 1.08 1.16 1.24 1.32 1.40 (上記温度上昇は室温20℃から温度上昇分を示してあります。)
たとえば60℃の温度上昇が見込まれる時の吸引力が1kg 必要な場合は、常温での
吸引力は、1kg×1.242(係数)=1.53kg 以上のソレノイドを使用する必要があります。b)電圧変動による影響
電源電圧の変動は、そのままアンペアターン(AT)の変化となってあらわれ吸引力が変化致しますので、動作電圧範囲で満足する吸引力をもったソレノイドの選定が必要です。
又電圧変動によってソレノイド本体の温度変化もある為、それによる吸引力の変化も考慮する必要があります。 -
温度上昇の測定方法(JIS C4004 に基づく)
温度上昇の測定には一般に水銀あるいはアルコール温度計を用いて測定する温度計法が簡便で良く用いられる方法でありますが、リレーやソレノイドの場合にコイルの温度上昇は内部から外部へ向かっての温度傾度がかなり大きく、外側の温度を測っても不完全です。そこで一般には銅の抵抗温度係数を利用した抵抗法によって平均温度を測る方式がとられています。● 抵抗法
計算式は下記のようになります。
● この式よりt2を求めると、
温度上昇分θは、上で求めたt2より
で求められます。
● 上記(1)、(2)式を変形して計算に便利な形にすれば抵抗法による温度上昇計算式となります。
t1=通電前の温度〔℃〕
R1=通電前の抵抗〔Ω〕
t2=通電後の温度〔℃〕
R2=通電後の抵抗〔Ω〕
△t=通電前と温度上昇後の周囲温度の変化〔℃〕
周囲温度が上がった時減算し、下った時は加算する。 -
残留磁気による影響
一般的に磁性材料はその材質の化学成分及びその材料を成形する場合に生ずる加工歪の程度によって、印加磁界を取り去っても磁気が幾分か残ります。この残留磁気がある場合、吸引された可動鉄芯が復帰しないこともあり使用上問題になる場合があるので、ソレノイドの重要な選定条件の1つとなります。
当社では、残留磁気軽減の為種々の方法を採用しておりますので予め使用条件を御明示ください。 -
入力端子、リード線、コネクタ付リード線について
ソレノイドの入力部には、端子方式、リード線方式とがございます。端子方式は、リード線方式に変更することも出来ます。またご希望によりリード線の先端部にコネクタを接続することも可能です。また特殊仕様として3端子方式のソレノイドも取り揃えております。3端子方式は2重巻線コイルが内臓されており、使用方法として吸引型(DP型)の場合は吸引用コイルと吸着用コイルとして使用でき、自己保持型(DL型)の場合は、吸引用コイルと復帰用コイルとして使用できます。
但し3端子の内1端子は共通となっております。 -
その他仕様
a)絶縁抵抗:250V DC にて50MΩ以上(常温常湿)(コイル~フレーム間)
b)耐電圧 :250V AC 50/60Hz 1分間印加して異常のないこと(常温常湿)(コイル~フレーム間)
c)絶縁階級:標準品はすべてE 種絶縁です(但しビニール電線は除く)
